LOCAL Community Summit 2015 開催レポート
2015年06月10日 01:39 LCS, イベント情報, 活動報告
はじめに
2015年5月16日(土)、株式会社ドワンゴ セミナールームにて「LOCAL Community Summit 2015」(以下、LCS2015)が開催されました。参加者は111名。首都圏にお住まいの様々な方にご参加いただき、大盛況のイベントとなりました。
この記事では竹内晟雅(@T_akms)が当日の様子をお伝えします。
オープニング
10時30分、菅井実行委員長の挨拶でLCS2015がスタートしました。
セッション1 RubyKaigi2014ネットワークの秘密
〜小岩、ゲートウェイ落とすってよ~
小岩 秀和(@koiwa)さんが「RubyKaigi2014」を題材に、カンファレンスのための臨時ネットワークの構築についてお話しされました。
会期前、会期中と、それぞれの段階での作業内容についての詳細や、今回のネットワーク構築に使用した技術、機材などについて幅広い内容のセッションでした。
会期前の作業内容については、まず「なぜネットワークを構築するのか」という目的の策定や、構築にあたっての障害点など課題の整理を行い、その後、設計、構築を行ったそうです。
ネットワーク構築の一番の目的は、動画中継のインフラだったそうです。
また課題については、「みんながなんらかの電波媒体を複数利用している。これらに対してのWi-Fi提供が課題」とのことでした。
会期中については Day1、Day2、Day3 と1日ごとのネットワークの利用状況などを、実際にZabbixで取得していたグラフを使用してお話しされていました。
会期中の運用について、ネットワークの監視はnagios、Zabbixを利用し、その他にもTwitterのハッシュタグを見ることや、自身で利用することで状態の確認を行っていたそうです。
最後に3日間のまとめとして
- 会期中のユニークな接続台数が平均800台で、販売されたチケット枚数より接続台数の平均台数が多い。
- MACアドレスで見るとベンダーはアップル社が圧倒的に多い。
とのことでした。
セッション2 言語系コミュニティLT大会
Ruby、Perl、PHP、Pythonなど様々な言語のコミュニティがある中で、今回は7名の方にLTをしていただきました。
自身が主催、所属しているコミュニティの活動や、その言語のコミュニティ事情について、その言語の「今」に触れることができるLT大会でした。
ゆかお(@yucao24hours)さん
主催されている「よちよち.rb」について発表していただきました。
RubyやRuby on Railsの初学者で集まり、みんなで学んでいるので「つまづくときはみんな一緒」とのこと。 勉強会参加者は、プログラム歴が2年くらいまでの人たちだけなので、経験値がほぼ同じ。
これにより、参加者同士のレベル感がそろっていて良いということでした。
ちなみに、ゆかおさんが発表時被っていたひよこは、よちよち.rb的な正装だそうです。
willnet(@netwillnet)さん
オーガナイザーをされている「ginza.rb」についてお話ししていただきました。
「ginza.rb」は銀座周辺のRubyistの方々が集まって銀座で開催しているそうです。
勉強会は自己紹介、本編、振り返りという構成で、自己紹介はgithubのリポジトリへプルリクエストをなげて行うそうですが、これは「よちよち.rb」からインスパイアされて、また振り返りの時間はKPT法で行っているそうですが、これは「Sendagaya.rb」からインスパイアされて行っているとのことでした。
最後に、「ginza.rb」についてはいろいろなコミュニティのいいところを取り入れて、会や空間を良いものにしているとのことでした。
t_kawa(@tkawa)さん
主催されている「Sendagaya.rb」について、共同運用されている@fukajunさんと一緒にお話していただきました。
「ゆるふわ」な勉強会で、そのコンセプトは『月曜日の勉強会を楽しみにして良いスタートをする』。これまでの活動についてはRuby、Ruby on Railsに限らす、vim や js など周辺技術についても勉強会をやってきたそうです。
勉強会の開催場所も「ゆるふわ」で、初回は千駄ヶ谷、その後新宿、渋谷近郊へと移動しているそうです。
Sendagaya.rbという名前も、始めたのが千駄ヶ谷だったからとのことでした。
小芝 敏明(@bash0C7)さん
様々な場で活躍されている小芝さんのLTでは、まずご自身の今までの活動について紹介されていました。
そして本題として「どこの人でもない自分、不安になっていない?」という問いかけと、その回答として、「コミュニティとはあなたです!」という「るびま」からの引用文をあげていました。
最後に「自分がいきたいところに行って、発表したいようにすれば良いんじゃないかな」という言葉でまとめていました。
xtetsuji(@xtetsuji)さん
東京近郊のPerlコミュニティについてのご紹介ということで、そのままズバリさまざまなPerlコミュニティについてxtetsujiさんの一言コメント入りで紹介されていました。
全部で7つのPerlコミュニティにのご紹介があり、その中でも Mishima.pm について今後注目というコメントをされていました。
最後にまとめとして、Perlコミュニティに訪れる方たちは言語にこだわりがない感じがしている、Perlはプラットフォーム的な役割になっているということでした。
koyhoge(@koyhoge)さん
PHPコミュニティについてのあれこれということで、日本のPHPコミュニティについてお話ししていただきました。
日本PHPユーザ会や、関西PHPユーザーズグループの発足の経緯など、お話ししていただきました。
また、現在のPHPのコミュニティについて以下のような3点で説明されていました。
- 細かいコミュニティもあって、おそらく全体を把握している人はおそらくいない
- 新しい人が多く、入ってくるので新陳代謝がよい
- disられやすい分結束が堅い!?
shimizukawa(@shimizukawa)さん
Pythonの国内コミュニティについては、プロダクト系のコミュニティと、地域系のコミュニティの2つが多いそうです。
主催されている勉強会において、内容を工夫している点については、自己紹介の時に参加者全員が自分のやることをあらかじめホワイトボードに書くことで、「あの人がこういうことをやっているから質問しに行こう」というように、コミュニケーションがとりやすいよう運営されているそうです。また所属する Sphinx-Users.jp での勉強会についても、やり方はハッカソンと同じ、というお話でした。
セッション3 そうだ!地方へ行こう!~地方コミュニティLT大会~
全国各地から集まった地域コミュニティ・勉強会の主催者7名によるLT大会でした。
どのコミュニティ、勉強会も、とてもユニークな活動をされていて、ぜひ参加してみたいと思わずにいられないものばかりでした。
小泉 勝志郎(@koi_zoom1)さん
トップバッターは、東北デベロッパーズコミュニティ(以下TDC)の代表をされている小泉さんでした。
TDCは2008年に活動を開始されたそうです。当時の東北地方はITコミュニティが少ない状況でしたが、現在では会員数は500名を超えているとのことです。
コミュニティの活動としては、「地方なら尖れよ!」ということで、失敗ネタの勉強会や、離島でハッカソンなどを行ってきたそうです。
影山 哲也(@t_kagecchi)さん
次に登壇されたのは、福島のITスキルアップコミュニティ「エフスタ!!」から影山さんです。
コミュニティとしては、特定の技術に関することだけではなく、ITならなんでもやると仰っていました。
コミュニティの活動については、福島県内にとどまらず、東京と仙台にサテライトがあるそうです。
また福島へのUターン、Iターンを支援する活動もされているそうです。
ありたそ(@alitaso345)さん
今回唯一の学生登壇者であるありたそさんは、高専カンファレンスについてのLTでした。
高専カンファレンスとは、高等専門学校の学生たちが全国各地で開催しているカンファレンスで、のべ90回以上開催されているそうです。
高専カンファレンスのもたらしたものとしては、視野が広がったなど自身の経験をもとにお話されていました。
「技術者コミュニティの種が高専カンファレンスでうまれる」ともおっしゃっていました。
papix(@__papix__)さん
Perl入学式からは、校長こと主催のpapixさんに登壇していただきました。
Perl入学式は東京・大阪・福岡で開催されていますが、papixさんが東京在住ということで大阪・福岡の運営は基本的に現地メンバーに任せているそうです。
Perl入学式はきっかけで、たまたま受講者が学ぶのがPerl、目標としては「プログラミングは楽しい」を伝えたいとお話されていました。
小室 文(@ayakomuro)さん
次のJAWS-UG福岡支部の小室さんは、「勉強会」について考えるきっかけになるようなLTでした。
始めに、今回の聴衆へ向け、「今日なんでここにきたと?」という問いかけをされました。 勉強会に対する個人の関係分類を「勉強会の存在などなにもしらない」「参加する」「発表する」「主催する」とすると、東京では参加するだけの人が多く、福岡では主催者、発表者、参加者が同じ割合で距離感が近いとのことでした。
最後にもう一度、冒頭と同じ問いかけを聴衆へ向けてされていました。
喜屋武 慶大さん
沖縄のIT系夏祭り、ハッカーズチャンプルーの紹介を喜屋武さんにしていただきました。
ハッカーズチャンプルーは、沖縄県内のIT系ユーザグループが合同で企画しているそうです。
県内だけでなく本州からゲストを呼んだりもしているとおっしゃっていました。
最後に今年のハッカーズチャンプルーについても少しだけお話していただきました。
法林 浩之さん
このセッション最後のLTは、関西オープンフォーラム(以下KOF)から法林さんに登壇していただきました。
プレウォーキングツアーということで、KOFで実際に行っている会場ウォーキングツアーのLT版としてお話されていました。
また舞台裏のお話として、KOFの運営についてもお話ししていただきました。運営スタッフは約40名。その中で15名ほどが関西の大学に通う学生さんが参加されているとのことでした。
セッション4 北海道な人・企業・コミュニティ LCS2015編
このセッションは、北海道で活躍されている企業やコミュニティの代表、北海道に所縁のある方々によるLTでした。
斉藤 和芳(@kazuyoshi)さん
釧路OSSコミュニティと、U-16釧路プログラミングコンテストについてのお話でした。
U-16釧路プログラミングコンテストは「子供が褒められる場所をつくりたい」という思いから開催に至ったそうです。
またご自身の今後のコミュニティ活動について、「釧路を出た若者が釧路を向いて活動してくれているので、そういう人と関わっていきたい」とのことでした。
松井 健太郎(@ketaiorg)さん
札幌移住計画という団体の活動についてのお話でした。
2014年のOSCの懇親会がきっかけで活動を開始されたそうです。
北海道へのUターンIターンを促進するための活動を行っていて、移住者の「職、住、コミュニティ」をサポートするとのことでした。
今後の活動としては、東京でも北海道の良さを知ってもらうためのイベントを計画しているそうです。
増井 雄一郎(@masuidrive)さん
増井さんのこれまでの活動や自身のキャリアについてのお話でした。
「コードを書くのが大好き。ずっとコードを書いていたい」という考えを持っている方には、とてもためになるお話だったのではないでしょうか。
増井さんは、チャレンジや目標を立てることを大切にされているとのことで、直近では「海外から招待講演を受ける」という目標を立てて活動されていたそうです。詳しくは「エンジニア 進化」などで検索してほしいとのことでした。
tomio2480(@tomio2480)さん
tomio2480さんは、自身の経歴をたどるということで、学生時代から現在まで北海道で行ってきた活動についてのお話でした。これまで北海道内の様々な地域で活動してきたので「つまり私が北海道」と力強く宣言されていました。学生時代には、IT系コミュニティだけではなく、小学校で技術の話をするという活動もされていたそうです。
八巻 正行(@yamaki_panda)さん
北海道におけるIT勉強会コミュニティと産学官の連携についてのお話でした。
八巻さんが所属されている北海道情報セキュリティ勉強会(通称せきゅぽろ)は、北海道地域情報セキュリティ連絡会という産学官の団体へ参画されているそうです。
産学官プラスコミュニティという状態になることで、団体の活動内容を技術者層へリーチすることや、逆に産学官へコミュニティの文化を知ってもらうことができるのではとのことでした。
小岩 秀和(@koiwa)さん
「俺とLOCALと北海道」ということで、一般社団法人LOCALの活動や、北海道の魅力を紹介するLTでした。
今回LOCALが東京でイベントを開催したのはなぜかというと、「北海道に帰ってきてもらうため」とのことでした。
またLT後半では、「そのために北海道のうまいものを淡々と紹介する」ということで、小岩さんのおすすめ北海道グルメを紹介していました。
セッション5 若手技術者パネルディスカッション ~北海道から上京してきた若者たちが仕事について真剣にディスカッションした結果~
このセッションでは、学生時代はLOCAL学生部など道内のコミュニティや勉強会で活動していた、菅井 祐太朗(@hokkai7go)さん、佐藤 佳祐(@riaf)さん、小野寺大地(@onodes)さん、そして私、竹内晟雅(@T_akms)の4人によるパネルディスカッションをお届けしました。ここでは他のレポートとは少し趣向を変えて、裏話などを交えてお伝えします。
お題は以下の4つでした。
- なぜ今の仕事(職種、会社、業界)を選んだのか
- 現在どのように技術の勉強をしているのか
- 東京来たからこそ見えたものある?
- 将来的に地元へ帰る気はあるのか?
最初のお題では、それぞれ上京したのが佐藤さんは2011年、菅井さんは2012年、小野寺さんは2013年、竹内は2014年とバラバラだったのですが、みんなに当時を思い出しながら答えてもらいました。
また、佐藤さんは起業、転職。菅井さんには転職の経験があり、そのお話もしていただくつもりだったのですが、司会をしていた私がとても緊張していまして、うまくその話にもっていくことができなかったので、機会がある方はぜひお二人に直接聴いてみることをオススメします!
次のお題は「現在どのように技術の勉強をしているのか」でしたが、みんな「勉強するぞ」というように学んでいるのではなく、仕事で必要な技術を必要な時に学んでいるそうです。
菅井さんは本の執筆経験もあり、その話もしていただきました。たまたま仕事で触っていて、プライベートで参加した勉強会が縁で声がかかり、執筆に至ったそうです。
また、今回はキャリアについて話をするのがメインだったため、勉強会やコミュニティなどについてはあまり話が出てきていませんが、みんな勉強会などへの参加をしているそうです。
次のお題では「東京来たからこそ見えたものある?」ということで、東京に来てからキャリアについての考えが変わったかどうかなどを話す予定でしたが、まず出たのが「暑い」「空が狭い」などの生活環境についてでした。時間の感覚について「通勤でかかる45分と新千歳空港から札幌駅までの45分は感じ方がぜんぜん違う」という話があり、ここから「東京と北海道での仕事のスピード感」の話などがあり最後にはキャリアの考え方についての変化も少しだけですが触れていました。
最後のお題は「将来的に地元へ帰る気はあるのか?」ということで、みんな地元、もとい北海道に帰りたいと言っていました。途中、小野寺さんから菅井さんへ、学生時代から思っていたこととして「(将来的に)東南アジアの国に住んでそう」という話があり、菅井さんが「北海道というより花粉のないところに住みたい」という返しをする一幕もありました。このお題は私自身も諸先輩方がどう考えているのかとても気になっていました。実際に帰りたいという思いはあれど、何年後などの具体的な年数を上げているのが私だけだったので少し驚きがありました。またこの北海道へ帰りたいという思いも学生時代の北海道内での活動などがあり、地元にいる人たちの影響もあるのかなと感じました。
セッション6 地方 x クラウド
このセッションでは、「地方xクラウド」ということで、工藤 淳さん、吉田 雄哉さんに、それぞれの観点でリモートワークについてお話していだきました
工藤淳(@jkudo)さん
工藤さんの現在の勤務先のチームには、リモートワークを行っているメンバーがいらっしゃるそうです。
今回の発表はそのチームメンバーとチームのマネージャーの方にヒアリングを実施し、その結果を元にしているとのこと。
リモートワークについてはリモート側、オフィス側それぞれの便利なところ不便なところと分類してお話されていました。
マネジメントの面で「リモートメンバーがこもりがちになるので、意図的に外出するように促す」というお話が印象に残りました。
仕事をする上でクラウドサービスを使うことに不便は感じないが、チーム間の雰囲気がつかみづらいそうで、
- 文字での会話時には主語の明確化や絵文字の使用
- オフィス側の会話、雑音など同じ空間を擬似的に共有する。音(雰囲気)の共有
という2つの対策を行っているとのことでした。
吉田雄哉(@yuya_lush)さん
吉田さんは前職、現職でのリモートワーク経験をメインにお話していただきました。
前職ではメンバー全員リモートワークだったそうで、全員がオフラインで会うのは月1回だったそうです。
リモートワークを行う際に良かった点は「メンバー全員のリテラシーレベルが同じ」とのこと。
現職では、社内はローケーションフリーで社外でも働くことのできる環境とのことでした。
現職での体験から見えてきた事として、
- あいつさぼってるんじゃないかと考えてたらきりがない
- 結果に対するコミットメント、ただしプロセスはある程度共有
- ツールの整備は対面、音声、動画、文字、緊急度、即時、タイムラグなどを考慮してあてがう
とのことでした。
最後に以下のようにまとめられていました。
- ツールの整備と継続的な改善
- 働く人の気持ちや制度
- オンラインとオフラインを行きかうように
クロージング
菅井実行委員長による締めの挨拶でお開きとなりました。
おわりに
その後の懇親会では、ジンギスカンを囲みながら参加者、登壇者、スタッフとでとても盛り上がっていました。
私も、初めましてな方や久しぶりにお会いする方などと、とても楽しい時間を過ごすことができました。
以上、今回のLOCAL Community Summit 2015の開催レポートでした。
東京でのLCS、次回開催があるのか気になるところですが、いったいどんなイベントになるのかとても楽しみですね!