Sapporo Java Days 2009 Winter

イベント情報

2009年3月7日(土)、札幌コンベンションセンタで、Sapporo Java Days 2009 Winterが開催された。主催は、札幌Javaコミュニティ。LOCALは、資材提供の点で協力を行った。
今回のセミナーは、朝10時から夕方5時半までの昼の部と、21時までの夜の部という長丁場の2部構成であったにもかかわらず、32名の参加者が、2名 の講師による4つのセッションと、2つのライトニングトーク、ハンズオンに参加した。

マインドマップ・モデリング(浅海 智晴氏)

現在の多くの開発現場では、モデリングが重要視されないことが多いだけではなく、一般の技術者にとって興味のあるキーワードとは言えない。が、最 近のバズワードである「クラウド」が一般化すると、プログラミングよりもモデリングの重要性が増すと思われる。
しかし、UMLをモデリング学習のスタート地点にすると、たいてい多くの困難に直面する。そこで、表記しやすいマインドマップを使用してモデリングの世 界に足を踏み入れるやすくするとともに、「UMLは、全体を俯瞰することが難しい」という問題点をクリアする手法として、マインドマップ・モデリングが考 えられた。
このセッションでは、最初にSimpleModeling?、Mindmap Modeling、そしてSimple Modelerという3つの浅海さんのメイン領域の説明と、それぞれの関連をお話しいただいた後、どのようにモデリングしていくのかを説明いただいた。

Slim3のすべて(ひがやすを氏)

Slim3は、JavaのWebアプリケーション用フレームワーク。  Seasar2の後継というと言うよりは、Seasar2から必要最低限な部分を洗練して抽出したスペシャルパッケージという位置づけとなる。
特徴としては、Hot deploymentによる開発効率の向上、CoCとannotationを程良いバランスで適用したLess ConfigurationといったAgile開発向けの特徴の他、学習コストの低さという開発期間が短くなった昨今の開発現場にうれしい特徴も併せ持 つ。コンセプトは、”Simple”と”Less is more”。
実際は、Spring の上にSlim3 Containerを、その上にstruts + JDBCを載せた上にSlim3が乗る形で実現している。
このセッションでは、Slim3の概論説明ののち、開発方法のデモンストレーションが行われ、Hot deploymentを始めとするSlim3の特徴を見せていただいた。

Agile Modegramming for cloud(浅海 智晴氏)

ModegrammingやSimpleModeler?の 背景となった「クラウド中心の時代」について、アジャイルを中心とした開発手法の変化やマッシュアップやサービス化といった開発技術の変化の説明を通し て、モデリングが重要視されるであろう近未来の開発手法について話された後、浅海氏が考えられたSimpleModeler?の デモンストレーションが行われた。
SimpleModeler?は、 クラウド向けの開発をする際に必須と思われるモデリング技術が、さまざまな要因で普及していないために、Modegramming(モデリングをすること で、プログラミングも行える開発手法)を実現するために作られたテキストベースDSLであるSimpleModeling?用 のモデル・コンパイラ。
CSVによる入力(「かなり複雑なクラスも、CSVで記述できる」とのこと。)を元にマインドマップを生成した後、最終的にJavaのソースコードや Web仕様書を生成することができる。今回は、CSVファイルに記述されたモデルを元に、Grailsのコードを生成したり、クラス図やステートマシン図 が生成するデモンストレーションを見ることができた。

Seasar2のすべて (ひがやすを氏)

午前中にお話していただいたSlim3の前身であるSeasar2。様々なプロダクトがある巨大なプロダクトになっているが、その中でも現在、最 も使われている組み合わせであるSAStrutsとS2JDBCの組み合わせに関するデモンストレーションが行われた。
「ユーザーに楽してもらおう。楽しくなるようにしよう」がコンセプトで開発されたSeasar2だが、実利用の実績も着々と増加して、汎用機上で動いて いた政令指定都市のシステムのリプレースで使われたり、大手出版社のシステムに利用されたりで、利用実績もあがっている。
前半は、Seasar2のデータベース関連の機能を中心としたデモンストレーション。タイプセーフなdbプログラミング、dbの変更やマイグレーション のバージョン管理、dbプログラミング時にビジネスロジックやサービスのひな形の自動生成などをライブコーディング形式で見ることができた。
後半の質疑応答では、数多くの質問が出され人気の高さを印象づけた。ちなみに、質問があるたびに、数あるソースコードに中から適切なサンプルを一撃で見 つけて説明される様子は、驚きであった。

LT

コミュニティLTでは、Ruby札幌、北海道開発オフ、CLR/H、日本Androidの会という4つのユーザーグループが成り立ちや活動経歴、 今後の予定などを説明、テクニカルLTでは、Ruby札幌のしまだ氏が適材適所の多言語プログラミングについて語り、Androidユーザー会のまいむぞ う氏がAndroidプログラミングのライブコーディングを、そして札幌Javaコミュニティのわたなべ氏がJavaで開発中の「デザイナに優しい」 XHTMLテンプレートエンジンであるPilikaのプレゼンテーションを行った。

謝辞

今回のイベント開催に際し、スピーカーである浅海 智晴さん、ひがやすをさんはもちろんのこと、LTでお話しくださった方、参加してくださった方、ご協力くださった方にお礼申し上げます。